西陣御召とは

西陣で古くから織られていた御召は、日本で最高位の絹織物であり高貴な方に愛されてきました。
最近は、御召と言えば先染織物のみが知られておりますが、生糸を先練りして昔ながらの手法で作られる「御召緯」を織り込んだ素材は白生地であっても他には真似できない素晴らしい艶・高級感・風合いを醸し出す御召です。
安土桃山時代~江戸時代の小袖には、西陣御召の白生地が使われているものが多く、「丹後ちりめん」「長浜ちりめん」も、この西陣の「御召緯」が醸し出す風合いの良さに近づけようと生み出されました。
最高の職人の手から手へ、幾つもの工程を経てつくられる希少な糸は京都の気候風土と重なり合い、初めて味わい深い素材となります。
私たちは自社の撚糸工場を持ち、糸作りから拘り、格上の風合いを追求し続けております。

※2012年 当社工房の本撚り職人である平野弘明が瑞宝単光章を授章いたしました。

御召製造工程

下撚り 糸繰り
合糸
下撚り
かせ上げ
  無練りの生糸を引き揃え、目的の太さに合わせ、糸の緊張を均一に撚りを掛ける
半練り
染め
浸けおき
水洗
染色(色もの)
すすぎ
脱水
乾燥
束括
 

 下撚り後の糸を、セリシンを半分残した状態に、一晩かけて練り上げる。
※後練りの丹後縮緬緯は、先練りの御召緯とは異なり、風合いも大きく変わる。半練りはどこの産地にも見られない、西陣特有の方法である。
糊付け 仕込み
調合
揉み込み(朝)
揉み込み(晩)
脱水
乾燥
束括
 

 天然の布海苔を炊き込み、一晩浸け置いたものを何度も漉し、寝かせる。そこに姫糊・澱粉を調合し秘伝の糊が完成する。時間をかけ、ムラなく均一に糸に揉み込み、馴染ませる。
※丹後縮緬緯は糊付けせず、生糸自体が持つセリシンを利用し撚りを止めるので、御召緯とは異なる。
本撚り 糸繰り(四つ枠)
巻き取り(管へ)
上撚り
巻き取り(ボビンへ)
箱詰め
 

 一度撚りをかけた糸の上からさらに撚りをかけ、片撚りの強撚糸をつくる。水を含ませ管からボビンへ時間をかけて巻き取ることで、糊が撚り止めの役割を果たす。この本撚りを経て、1メートルあたり約3000回転の強撚糸が完成する。